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IPv6 Linux router with NDP proxy

更新:2024/07/07 Debian 12のオリジナルndppdパッケージで下記設定にてndppdが機能することを確認しました。
----------------------------------------------------------------
LinuxでIPv6 routerを設定しました。

プロバイダーから提供されたルータ機能付きのONUの配下に、パブリックなIPv6サブネットを構成できるルータを設定した時のメモです。

プロバイダはNuro光 で、G2Vというサービスです。通常、このサービスでは、ルータ付きのONU(図のONU+RT)には、IPv6で接続する場合、クライアントを直接接続する事はできます。しかし、図のように内側にさらにLinux Routerを接続し、eth1以下のClinet側サブネットにPublicなIPv6 addressを付与するには、NDP proxyの設定が必要でした。

構成はおよそ以下の通りです。(図再差し替え:2020/07/04)

1. 問題点と対策方針

今回来たONU+RTはZTE社のF660Aという物でした。このルータには、/56のアドレスが付与され、なおかつ、「プレフィックスデリゲーション」という項目があるのですが、設定しても、RA(ルーターアドバタイズ)は/64しか降りてこず、また、DHCPv6でも/64しか取得できません。つまり、このG2Vというサービスでは、DHCPv6-PDでも、/64しかすら降りてきません。(なお、このサービスとしては機能的にはこれが正常です。)

この制約を説明するとおよそこのような感じです。

26xx:1234:5678:9A00::/56 ← ONU+RTに払い出されたアドレス
26xx:1234:5678:9A00::/64 ← ONU+RTから払い出されるアドレス。

つまり、この設定では、64-56=8bit以下のサブネットを構成できるルータを別途接続することができません。

そこで調べたところ、「スタティックプレフィックス」という項目があり、これだと、(2024/07/06訂正)

26xx:1234:5678:9A00::/56 ← ONU+RTに払い出された(委譲された)アドレス
26xx:1234:5678:9A10::/60 ← Linux RT(eth1)へ払い出される(委譲される)アドレス。

が、設定できそうでした。

しかし、この設定でも、Linux RTの eth0を26xx:1234:5678:9A10::/60のルートとしてONU+RTは認識しません。

そこでログを見たところ、やはり、F660Aは内部的にはONU+RTのイーサネットデバイスを26xx:1234:5678:9A10::/60のルートとして設定しているだけでした。

つまり、26xx:1234:5678:9A10::/60のルートとするには、Linux RTの eth0に、eth1配下にあるクライアントの「NDP Proxy」 (IPv4でいうProxy ARP)を設定すれば良いのでは?という方針を立てました。結論から言えばこれでOKでした。

最終的には、図のような構成が可能になります。(2024/07/06訂正)
(例:15*15=225サブネット)

2. ONU+RT(OUTER ROUTER)の設定
(再訂正:2024/07/06) これは、前述の「スタティックプレフィックス」を追加するだけです。

ここでは
26xx:1234:5678:9A10::/60
を追加したものとします。RAとDHCPv6を使用する設定にはしません。(こうすることで、ONU+RTには複数のルータを接続できるようになります。)


3. Linux RTの設定
3-1. アドレス・デフォルトルートの設定とPromiscuousモードの設定

シェルコマンドでの設定相当分は、以下の通りです。( 再訂正:2024/07/06)

#/bin/sh
ip -6 addr add 26xx:1234:5678:9A00::1/56 dev eth0
ip -6 addr add 26xx:1234:5678:9A10::1/60 dev eth1
ip -6 route add default via fe80::1 dev eth0

ifconfig eth0 promisc
ifconfig eth1 promisc

3-2. NDP PROXY デーモン(ndppd)の設定 (再訂正:2024/07/06)

/etc/ndppd.conf

proxy eth0 {
  router no
  autowire yes
  keepalive yes
  retries 3
  rule 26xx:1234:5678:9A10::/60 {
    static
  }
}

proxy eth1 {
  router yes
  autowire yes
  keepalive yes
  retries 3
  rule 26xx:1234:5678:9A00::/56 {
    iface eth0
  }
}

3-3. radvdの設定

/etc/radvd.conf (RNDSSは、ONU+RTで確認できます)

interface eth1 {
  AdvSendAdvert on;
  AdvManagedFlag off;
  AdvOtherConfigFlag off;
  AdvLinkMTU 1500;

  RDNSS 26xx:ABC::A 26xx:ABC::B {
  };

  prefix  26xx:1234:5678:9A10::/64 {
    AdvOnLink on;
    AdvAutonomous on;
    AdvRouterAddr on;
  };
};

4. /etc/sysctl.confの設定
net.ipv6.conf.all.forwarding=1
net.ipv6.conf.default.forwarding=1

net.ipv6.conf.eth0.accept_ra=0

net.ipv6.conf.all.autoconf=0
net.ipv6.conf.default.autoconf=0
net.ipv6.conf.eth0.autoconf=0

#2020/07/02削除
net.ipv6.conf.all.router_solicitations=1
net.ipv6.conf.all.proxy_ndp=1
net.ipv6.conf.default.proxy_ndp=1
#2020/07/02追記
net.ipv6.conf.eth0.proxy_ndp = 1
net.ipv6.conf.eth1.proxy_ndp = 1

Linux Routerの基本的な設定は以上です。設定出来たら再起動してください。

5. Clientの設定。
Windowsの場合、特に設定は不要です。

追記(2020/4/3):
6. IPv4の設定について
IPv4のスタティックルートも、IPv6と同じく、660Aのルータには設定項目がありませんので、Inner router以下から外部に通信させるには、Inner routerのeth0(外側)をマスカレードさせます。具体的には、660AのIPv4アドレスは192.168.1.1/24なのでInner routerのアドレスをたとえば192.168.1 254にして、iptables -t nat -A POSTROUTING -o eth0 -j MASQUERADE とすると、inner router 以下も外部にIPv4で通信できるようになります。投稿時点からそのようにしていたのですが、追記しました。

追記(2024/7/6):
7. その他
本稿には記載していませんが、子ルータのLinux Routerにdhcpv6サーバーを導入することで、サブルータ(3段目、孫ルータ)へプレフィックス委譲を行う事ができます。IPv4についてはdhcpv4サーバを設定する必要があります。また、ルートの設定が手動では大変なので、Linux Router(子ルータ2段目および孫ルータ3段目)はripng/ripを使うとよいと思います。ただし、Nuro光の親ルータがIPv4スタティックルートを設定できない上、前述の様に子ルータのeth0(wan側)でマスカレードしているので、子ルータにはeth0に対してtagged vlanでインターフェースを追加し子ルータ間でもIPv4の通信ができるようにするなどしてください。なおその場合は、IPv4の各サブネットアドレスが重複しないように注意してください。
追記(2024/07/07)上図の設定を記載しておきます。(ipv4デフォルトゲートウェイが10.1.1.23でipv6デフォルトゲートウェイがリンクローカルアドレスfe80::1の場合)
r50とr51の設定は以下の通りです。
######## r50
#/etc/network/interfaces.d/eth0
auto eth0
iface eth0 inet manual
iface eth0 inet6 manual

#/etc/network/interfaces.d/eth0.10
auto eth0.10
iface eth0.10 inet manual

#/etc/network/interfaces.d/eth1
auto eth1
iface eth1 inet manual
iface eth1 inet6 manual

#/etc/frr/frr.conf
frr version 8.4.4
frr defaults traditional
hostname r50
log syslog informational
service integrated-vtysh-config
!
ip route 0.0.0.0/0 10.1.1.23
ipv6 route ::/0 fe80::1 eth0
!
interface eth0
 ip address 10.1.1.50/24
 ipv6 address 26xx:1234:5678:9a00::50/56
exit
!
interface eth0.10
 ip address 10.0.0.50/24
exit
!
interface eth1
 ip address 10.1.50.1/24
 ipv6 address 26xx:1234:5678:9a50::1/60
exit
!
router rip
 default-information originate
 network eth0.10
 network eth1
 version 2
exit
!
router ripng
 default-information originate
 network eth0.10
 network eth1
exit
!

######## r51
#/etc/network/interfaces.d/eth0
auto eth0
iface eth0 inet manual
iface eth0 inet6 manual

#/etc/network/interfaces.d/eth1
auto eth1
iface eth1 inet manual
iface eth1 inet6 manual

#/etc/frr/frr.conf
frr version 8.4.4
frr defaults traditional
hostname r51
log syslog informational
service integrated-vtysh-config
!
interface eth0
 ip address 10.1.50.11/24
 ipv6 address 26xx:1234:5678:9a50::51/60
exit
!
interface eth1
 ip address 10.1.51.1/24
 ipv6 address 26xx:1234:5678:9a51::1/64
exit
!
router rip
 network eth0
 network eth1
 version 2
exit
!
router ripng
 network eth0
 network eth1
exit
!
r60とr61の設定は以下の通りです。
######## r60
#/etc/network/interfaces.d/eth0
auto eth0
iface eth0 inet manual
iface eth0 inet6 manual

#/etc/network/interfaces.d/eth0.10
auto eth0.10
iface eth0.10 inet manual

#/etc/network/interfaces.d/eth1
auto eth1
iface eth1 inet manual
iface eth1 inet6 manual

#/etc/frr/frr.conf
frr version 8.4.4
frr defaults traditional
hostname r60
log syslog informational
service integrated-vtysh-config
!
ip route 0.0.0.0/0 10.1.1.23
ipv6 route ::/0 fe80::1 eth0
!
interface eth0
 ip address 10.1.1.60/24
 ipv6 address 26xx:1234:5678:9a00::60/56
exit
!
interface eth0.10
 ip address 10.0.0.60/24
exit
!
interface eth1
 ip address 10.1.60.1/24
 ipv6 address 26xx:1234:5678:9a60::1/60
exit
!
router rip
 default-information originate
 network eth0.10
 network eth1
 version 2
exit
!
router ripng
 default-information originate
 network eth0.10
 network eth1
exit
!

# /etc/nftables.conf
-- snip --
table ip nat {
        chain prerouting {
                type nat hook prerouting priority 0;
        }
        chain postrouting {
                type nat hook postrouting priority 0;
                oifname "eth0" masquerade
        }
}

######## r61
#/etc/network/interfaces.d/eth0
auto eth0
iface eth0 inet manual
iface eth0 inet6 manual

#/etc/network/interfaces.d/eth1
auto eth1
iface eth1 inet manual
iface eth1 inet6 manual

#/etc/frr/frr.conf
frr version 8.4.4
frr defaults traditional
hostname r61
log syslog informational
service integrated-vtysh-config
!
interface eth0
 ip address 10.1.60.11/24
 ipv6 address 26xx:1234:5678:9a60::61/60
exit
!
interface eth1
 ip address 10.1.61.1/24
 ipv6 address 26xx:1234:5678:9a61::1/64
exit
!
router rip
 network eth0
 network eth1
 version 2
exit
!
router ripng
 network eth0
 network eth1
exit
!

#/etc/nftables.conf
# /etc/nftables.conf
-- snip --
table ip nat {
        chain prerouting {
                type nat hook prerouting priority 0;
        }
        chain postrouting {
                type nat hook postrouting priority 0;
                oifname "eth0" masquerade
        }
}

設定に問題がなければ、r51-r61間でipv4/ipv6共に通信できます。もちろん、外部にも出れます。

以上です。

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