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ldbmodifyによるsamba4 AD DC上の uid等の設定方法

WindowsクライアントからRSATで属性エディターを使い、uidNumber/gidNumberを直接編集することもできますが、間違いやすく、手間もかかるため、ldbmodfiyをつかって、編集したldifファイルにて直接変更する方法です。

ldbmodifyはldb-toolsにあるので、samba4 ad dc上でインストールしておいて下さい。samba4 ad dcをプロビジョンしたときに、--use-rfc2307としていることが前提です。また、下記例でのgidNumberの付与については、idmap config MYDOMAIN: range=10000-19999 とし、RIDに加算するベースとなるuidを18000にしています。(sambaのデフォルトグループのRIDは500番台(一部400番台)と1000番台で、18000に加算してもrangeの範囲を超えないため。)

無論 idmap config MYDOMAIN: backend = ad が前提です。(なおテスト用のrangeなので、rangeの範囲は比較的小さく、実際の運用では大きめのrangeを設定するべきだと思います。)

ldifファイル自体は非常にシンプルです。AdministratorはRID=500でuid=18000+RID=18500, groupはDomain admins (RID=512) で gid=18512としました。(Guestは、RID=501, Domain GuestsはRID=514です。)
mod-Administrator.ldif
dn: cn=administrator,cn=Users,dc=mydomain,dc=site
changetype: modify
-
replace: gidNumber
gidNumber: 18512
-
replace: loginShell
loginShell: /usr/sbin/nologin
-
replace: uidNumber
uidNumber: 18500
-
replace: unixHomeDirectory
unixHomeDirectory: /nonexistent
mod-Guest.ldif
dn: cn=guest,cn=Users,dc=mydomain,dc=site
changetype: modify
-
replace: gidNumber
gidNumber: 18514
-
replace: loginShell
loginShell: /usr/sbin/nologin
-
replace: uidNumber
uidNumber: 18501
-
replace: unixHomeDirectory
unixHomeDirectory: /nonexistent
変更を適用するには、Debian 10/Busterの場合
sudo ldbmodify -H /var/lib/samba/private/sam.ldb mod-Administrator.ldif
sudo ldbmodify -H /var/lib/samba/private/sam.ldb mod-Guest.ldif
これで、変更が成功すると
Modified 1 records successfully
とそれぞれ表示されます。Guest 以外にも 登録ユーザに対しても同様の方法で変更できます。

追記:半自動のスクリプトはこちらです。
#!/bin/sh

UID_BASE=18000
DOMAIN=MYDOMAIN
HOME_BASE=/home/$DOMAIN
DN="dc=mydomain,dc=site"
SAM_LDB=/var/lib/samba/private/sam.ldb

rm -rf wrk
mkdir -p wrk

cat > wrk/mod-administrator.ldif <<EOF;
dn: cn=administrator,cn=Users,$DN
changetype: modify
-
replace: uidNumber
uidNumber: $(($UID_BASE + 500))
-
replace: gidNumber
gidNumber: $(($UID_BASE + 512))
-
replace: loginShell
loginShell: /usr/sbin/nologin
-
replace: unixHomeDirectory
unixHomeDirectory: $HOME_BASE/administrator
-
EOF

echo modifying administrator...
ldbmodify -H $SAM_LDB wrk/mod-administrator.ldif

cat > wrk/mod-guest.ldif <<EOF;
dn: cn=guest,cn=Users,$DN
changetype: modify
-
replace: uidNumber
uidNumber: $(($UID_BASE + 501))
-
replace: gidNumber
gidNumber: $(($UID_BASE + 514))
-
replace: loginShell
loginShell: /usr/sbin/nologin
-
replace: unixHomeDirectory
unixHomeDirectory: /nonexistent
-
EOF

echo modifying guest...
ldbmodify -H $SAM_LDB wrk/mod-guest.ldif
また、たとえば Domain GuestsのgidNumberを設定する場合、
dn: cn=domain guests,cn=Users,dc=mydomain,dc=site
changetype: modify
-
replace: gidNumber
gidNumber: 18514
-
これを、前述と同様にldbmodifyに読み込ませればOKです。 必要に応じてほかのGroupアカウントなどに対してgidNumberなどを登録する場合も同様です。必要なldifを作れば、あとはldbmodifyに読み込ませるだけですが、とはいうものの、Default groupには16のアカウントがあります。

さらに、idmap backend = ad のsamba4 domainを複数展開する場合(信頼関係の設定)がありえる上、間違いも訂正しやすいので、スクリプト化する方が正解だと思い、wbinfo -g で取得できる範囲のgroupに対し、gidNumberを自動で設定するスクリプトを作ってみました。実行はAD DCサーバ上で行ってください。

UID_BASE, DOMAIN, SAM_LDBはハードコードしていますので、適宜書き換えてください。
こちらはドメインのグループ用です。
#!/bin/sh
UID_BASE=18000
DN="dc=mydomain,dc=site"
SAM_LDB=/var/lib/samba/private/sam.ldb

rm -rf wrk
mkdir -p wrk
wbinfo -g | awk 'BEGIN{FS="\\"}{print $2}' > wrk/grp.txt

while IFS= read grpString; do \
RID=`wbinfo -n "$grpString" | awk '{print $1}' | sed -e 's/-/ /g' | awk '{print $8}'`

cat > wrk/$RID.ldif <<EOF;
dn: cn=$grpString,cn=Users,$DN
changetype: modify
-
replace: gidNumber
gidNumber: $(($UID_BASE + $RID))
-
EOF
echo modifying gidNumber of $grpString ...
ldbmodify -H $SAM_LDB wrk/$RID.ldif

done < wrk/grp.txt
こちらは、BUILTIN用です。
#!/bin/sh

UID_BASE=18000
DN="dc=mydomain,dc=site"
SAM_LDB=/var/lib/samba/private/sam.ldb

rm -rf wrk
mkdir -p wrk
wbinfo -g --domain=BUILTIN | awk 'BEGIN{FS="\\"}{print $2}' > wrk/grp.txt

while IFS= read grpString; do \
RID=`wbinfo -n "BUILTIN\\\\$grpString" | awk '{print $1}' | sed -e 's/-/ /g' | awk '{print $5}'`
echo $RID
cat > wrk/$RID.ldif <<EOF;
dn: cn=$grpString,cn=Builtin,$DN
changetype: modify
-
replace: gidNumber
gidNumber: $(($UID_BASE + $RID))
-
EOF

echo modifying $grpString ...
ldbmodify -H $SAM_LDB wrk/$RID.ldif

done < wrk/grp.txt
せっかく--use-rfc2307をつかってプロビジョンしても、 uidNumbedr gidNumberなどの付与について、あまり情報がないので本稿を挙げた次第です。

以上です。

追記:Defaultのユーザとグループに対して、uidNumberやgidNumberを付与しないと、backend=adではad dcからは、当然ながらuid/gidをmemberマシンが参照できず、機能できません。

backend = ridはともかくbakcend = adでは「uidNumber gidNumberが取得できない。」という情報が多かったので... gidがrangeの範囲外だったり、範囲内のid番号を付与しないわけですから、表示できないのは当然ですね。はじめはバグかなと思いましたが...

コメント

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