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STM32F407VにてNUTTXを実行:その1

STM32F407VET6とMicro SDスロットと2MBのSPIフラッシュが載った、通称 F4V Black Boardというボードが手元にあったので、NUTTX(Real Time OS)をビルド・実行してみました。
では早速、設定していきますが、コンフィグレーションには、クロスコンパイラ類と、kconfig-frontendsが必要なので、先にhostマシン(Debian 11/Bullseye)にインストールしておきます。
sudo apt-get install kconfig-frontends binutils-arm-none-eabi gcc-arm-none-eabi
2020/9/21日時点での、wiki上でのリリース済の最新バージョンは、9.0の様ですが、( https://cwiki.apache.org/confluence/display/NUTTX/NuttX+9.0 ) git repository上での最新ブランチはrelease 9.1.0の様子なので、こちらをクローンしました。
mkdir /usr/src/nuttx-9.1.0
cd /usr/src/nuttx-9.1.0
git clone -b nuttx-9.1.0 https://github.com/apache/incubator-nuttx nuttx
git clone -b nuttx-9.1.0 https://github.com/apache/incubator-nuttx-apps apps
今回は、stm32f407v black board (stm32f407ve, microsd slot, spi 16Mbit flash付き)なんですが、STM32F4DISCOVERY(stm32f407vg)の物をコンパイル/インストールしてみます。
NUTTXとSTM32F4DISCOVERYのwikiを参考にしました。 https://cwiki.apache.org/confluence/display/NUTTX/Wiki https://cwiki.apache.org/confluence/display/NUTTX/STM32F4DISCOVERY+Unix
cd /usr/src/nuttx-9.1.0
tools/configure.sh stm32f4discovery:nsh
  Copy files
  Select CONFIG_HOST_LINUX=y
  Refreshing...
続いて、コンパイルするホストの設定です。デフォルトではlinuxになっていましたが、変更する場合は、
make menuconfug
Build Setup  --->
Build Host Platform (Linux)  --->
にて変更する様です。
続いてシリアルコンソールの設定ですが、stm32f4discovery:nshでは、シリアルポートはUSART2固定(PA2=TX,PA3=RX,115200,8,n,1)になっているようです。 なお、シリアルポートの設定は、Device Drivers ---> Serial Driver Support ---> USART2 Configuration ---> で速度などを設定できます。
ビルド: 今回は変更を入れずに素直にビルドしてみます。
make
ビルド後、ディレクトリに
nuttx
nuttx.bin
というファイルができます。nuttx(拡張子なし)ファイルはelf形式のファイルでnuttxをnuttx.elfとし、ターゲットに書き込みます。
筆者の場合、執筆時点ではビルドホスト(debian)と書き込みホスト(windows10)をわけていますので、ファイルを、書き込みホストにコピーして、書き込みます。
参考までに、wsl2上のscpでビルドホストからコピーし、powershell上の stm cube programmer cliで書き込みしています。
## wsl2上
cd 
/mnt/c/Users/benedicam-te/Documents/STM32F407V
scp 192.168.255.23:/usr/src/nuttx-9.1.0/nuttx/nuttx.bin nuttx.bin
## powershell上(snはst-linkのシリアル番号。複数接続の時に指定する。)
cd C:\Users\benedicam-te\Documents\STM32F407V
STM32_Programmer_CLI UR -c port=SWD sn=1234567890123456789012 -d nuttx.bin 0x08000000
書き込み完了後、リセット(またはstm32 programmerでアクセス)するとNuttShellが再起動します。TeraTermなどのシリアルターミナルソフトで確認してください。
NuttShell (NSH) NuttX-9.1.0
nsh> free
             total       used       free    largest
Umem:       192992       7536     185456     125264
nsh> mount
  /proc type procfs
nsh> df
  Block  Number
  Size   Blocks     Used Available Mounted on
     0        0        0         0 /proc
nsh>
Linuxに慣れていると、違和感がないのですが、メモリ表示はK byte単位ではなく、byte単位です。使用メモリが異様に小さいですね。
今回は以上です。それでは。

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