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Nucloe-64にてSLIP over VCPを設定

Nucleo64には、ネットワークポートもUSBコネクタもついておらず、ネットワーク接続させる方法が限られています。一つの方法としては、SLIP(Serial Line IP)をNucleo64で実行させる方法がありますが、標準ではコンソールがVCP(バーチャルコムポート)経由なので、他のシリアルポートでtelnetを立ち上げてもよいのですが、別途接続・配線の手間がかかります。そこで、今回はNucleo-64のVCP接続されるシリアルポートをつかって、telnet経由で手軽にnshできるようにしてみました。なお今回はNucleo-F446を使用し、slip接続は、VCPで使うUSART2経由, シリアルコンソールはUSART3経由としました。 設定内容は以下の通りです。
IP Address
IPADDR 10.0.0.2
DRADDR 10.0.0.1
NETMSK 255.255.255.0
DNSSRV 1.1.1.1
configs/slip_over_vcp/defconfigの編集
cd /usr/src/nuttx-9.1.0/nuttx
cp -a boards/arm/stm32/nucleo-f446re/configs/nsh boards/arm/stm32/nucleo-f446re/configs/slip_over_vcp

#編集:boards/arm/stm32/nucleo-f446re/configs/slip_over_vcp/defconfig

# 1.
#CONFIG_USART2_SERIAL_CONSOLEを
#CONFIG_USART3_SERIAL_CONSOLEに変更

#CONFIG_USART2_SERIAL_CONSOLE=y
CONFIG_USART3_SERIAL_CONSOLE=y

# 2. 以下を追加
CONFIG_STM32_USART3=y

CONFIG_BOARD_LATE_INITIALIZE=y
CONFIG_FS_PROCFS=y
CONFIG_SCHED_HPWORK=y
CONFIG_SCHED_LPWORK=y

CONFIG_NET=y
CONFIG_NET_SLIP=y
CONFIG_NET_LOOPBACK=y
CONFIG_NET_SOCKOPTS=y
CONFIG_NET_TCP=y
CONFIG_NET_TCP_WRITE_BUFFERS=y
CONFIG_NET_UDP=y
CONFIG_NET_BROADCAST=y
CONFIG_NET_ICMP=y
CONFIG_NET_ICMP_SOCKET=y
CONFIG_NET_ARP_SEND=y

CONFIG_NETDB_DNSCLIENT=y

CONFIG_NETINIT_NETLOCAL=y
CONFIG_NETINIT_DNS=y
CONFIG_NETINIT_DNSIPADDR=0x01010101
CONFIG_NETINIT_IPADDR=0x0a000002
CONFIG_NETINIT_DRIPADDR=0x01000001
CONFIG_NETINIT_NETMASK=0xffffff00

CONFIG_NETUTILS_PING=y
CONFIG_SYSTEM_PING=y

CONFIG_NETUTILS_TELNETD=y
CONFIG_NSH_DISABLE_TELNETD=n

CONFIG_NSH_DISABLE_IFUPDOWN=n

CONFIG_NETDEVICES=y
CONFIG_NETDEV_PHY_IOCTL=y
CONFIG_NETDEV_IFINDEX=y
編集: boards/arm/stm32/nucleo-f446re/include/board.h
//以下を追加
#define GPIO_USART3_RX   GPIO_USART3_RX_2    /* PC11 */
#define GPIO_USART3_TX   GPIO_USART3_TX_2    /* PC10 */
boards/arm/stm32/stm32f4discovery/src/stm32_netinit.c をnucleo-f446re/srcにコピー
cp boards/arm/stm32/stm32f4discovery/src/stm32_netinit.c boards/arm/stm32/nucleo-f446re/src/stm32_netinit.c 
編集: boards/arm/stm32/nucleo-f446re/src/Make.defs
#以下を追加
ifeq ($(CONFIG_NET),y)
CSRCS += stm32_netinit.c
endif
編集: boards/arm/stm32/nucleo-f446re/src/stm32_boot.c
#以下を追加・編集

#ifdef CONFIG_NET_SLIP
#  include "../../../../../apps/include/netutils/netlib.h"
#  include <arpa/inet.h>
#  include <netinet/in.h>
#  include <nuttx/net/net.h>
#  include <nuttx/net/slip.h>
#endif

void board_late_initialize(void)
{
  int ret;
#ifdef CONFIG_FS_PROCFS
  /* Mount the procfs file system */

  ret = mount(NULL, STM32_PROCFS_MOUNTPOINT, "procfs", 0, NULL);
  if (ret < 0)
    {
      syslog(LOG_ERR,
             "ERROR: Failed to mount the PROC filesystem: %d (%d)\n",
             ret, errno);
    }
#endif /* CONFIG_FS_PROCFS */

#ifdef CONFIG_NET_SLIP
  ret = slip_initialize(0, "/dev/ttyS1");
  if (ret < 0)
    {
      syslog(LOG_ERR,
             "ERROR: SLIP initialization failed: %d\n", ret, errno);
    }
  else
    {
      struct in_addr addr;
      addr.s_addr = HTONL(CONFIG_NETINIT_IPADDR);
      netlib_set_ipv4addr("sl0", &addr);
      addr.s_addr = HTONL(CONFIG_NETINIT_DRIPADDR);
      netlib_set_dripv4addr("sl0", &addr);
      addr.s_addr = HTONL(CONFIG_NETINIT_NETMASK);
      netlib_set_ipv4netmask("sl0", &addr);
#ifdef CONFIG_NETINIT_DNS
      addr.s_addr = HTONL(CONFIG_NETINIT_DNSIPADDR);
      netlib_set_ipv4dnsaddr(&addr);
#endif
      netlib_ifup("sl0");
    }
#endif
編集: boards/arm/stm32/nucleo-f446re/include/board.h
#以下を追加

#define GPIO_USART3_RX   GPIO_USART3_RX_2    /* PC11 */
#define GPIO_USART3_TX   GPIO_USART3_TX_2    /* PC10 */
編集: boards/arm/stm32/nucleo-f446re/src/nucleo-f446re.h
#以下を追加

#ifdef CONFIG_FS_PROCFS
#  ifdef CONFIG_NSH_PROC_MOUNTPOINT
#    define STM32_PROCFS_MOUNTPOINT CONFIG_NSH_PROC_MOUNTPOINT
#  else
#    define STM32_PROCFS_MOUNTPOINT "/proc"
#  endif
#endif

設定は以上です。設定が済んだら、make clean;makeし、出来上がったbinaryをボードに焼きます。続いて、ボードをLinuxに接続します。(残念ながらWindows7以降はSlipの機能がありませんので)linux側で以下のコマンドを実行します。
#シリアルポートの確認
# ls -la /dev/ttyACM*
crw-rw---- 1 root dialout 166, 0 Dec 14 08:28 /dev/ttyACM0

# slip接続 1.
# slattach -L -d -p slip -s 115200 /dev/ttyACM0 &

# slip接続 2.
# ifconfig sl0 10.0.0.1 netmask 255.255.255.0 pointtopoint 10.0.0.2 up

# telnet接続

# telnet 10.0.0.2
Trying 10.0.0.2...
Connected to 10.0.0.2.
Escape character is '^]'.

NuttShell (NSH) NuttX-9.1.0
nsh> ls /dev
/dev:
 console
 null
 telnet
 telnet0
 ttyS0
 ttyS1
nsh> ping -c4 www.google.com
PING 216.58.197.228 56 bytes of data
56 bytes from 216.58.197.228: icmp_seq=0 time=40 ms
56 bytes from 216.58.197.228: icmp_seq=1 time=20 ms
56 bytes from 216.58.197.228: icmp_seq=2 time=20 ms
56 bytes from 216.58.197.228: icmp_seq=3 time=20 ms
4 packets transmitted, 4 received, 0% packet loss, time 4040 ms
nsh>

とりあえずネット機能をNucleo-64/32で手軽に実現したいという場合、有効かもしれませんね。今回は以上です。それでは。

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