スキップしてメイン コンテンツに移動

Nuttx ttyACMにID_SERIAL_SHORTを付与

古いバージョンではわかりませんが、Nuttx-9.1.0の場合だと、make menuconfigでもttyACMのID_SERIAL_SHORTを付与する項目が出てきません。udevadm infoで確認してもID_SERIAL_SHORTは"0"で固定されており、このままでは、USB接続時、ID_SERIAL_SHORを識別しとした個別のudevルールを設定することができません。そこでどうなっているのかソースコードをみたところ、
#include/nuttx/usb/cdcacm.h.orig

#undef CONFIG_CDCACM_SERIALSTR
#define CONFIG_CDCACM_SERIALSTR "0"
となっていて、やはり"0"に固定されており、このままだと一々シリアル番号ごとにソースコードをかきかえる必要があります。そこで、とりあえずmake menuconfigでシリアル番号を設定できるようにしてみました。とはいっても変更は二か所のみです。 変更箇所1
--- include/nuttx/usb/cdcacm.h.orig     2020-09-21 00:09:41.000000000 +0900
+++ include/nuttx/usb/cdcacm.h  2020-12-22 16:17:52.860000000 +0900
@@ -235,8 +235,9 @@
 #  define CONFIG_CDCACM_PRODUCTSTR "CDC ACM Serial"
 #endif

-#undef CONFIG_CDCACM_SERIALSTR
+#ifndef CONFIG_CDCACM_SERIALSTR
 #define CONFIG_CDCACM_SERIALSTR "0"
+#endif

 #undef CONFIG_CDCACM_CONFIGSTR
 #define CONFIG_CDCACM_CONFIGSTR "Bulk"
変更箇所2
--- drivers/usbdev/Kconfig.orig 2020-09-21 00:09:41.000000000 +0900
+++ drivers/usbdev/Kconfig      2020-12-22 16:14:55.120000000 +0900
@@ -565,6 +565,10 @@
        string "Product string"
        default "CDC/ACM Serial"

+config CDCACM_SERIALSTR
+       string "CDC ACM SERIALSTR"
+       default "0"
+
 endif # !CDCACM_COMPOSITE
 endif # CDCACM

make menuconfigで設定(注:シリアルは文字列で付与)しビルドしたものをlinuxに接続、udevadm info /dev/ttyACM0で確認すると以下の様になりました。
# udevadm info /dev/ttyACM0
P: /devices/pci0000:00/0000:00:12.0/usb4/4-2/4-2:1.0/tty/ttyACM0
N: ttyACM0
L: 0
S: serial/by-id/usb-NuttX_CDC_ACM_Serial_111122223333444455550002-if00
S: serial/by-path/pci-0000:00:12.0-usb-0:2:1.0
E: DEVPATH=/devices/pci0000:00/0000:00:12.0/usb4/4-2/4-2:1.0/tty/ttyACM0
E: DEVNAME=/dev/ttyACM0
E: MAJOR=166
E: MINOR=0
E: SUBSYSTEM=tty
E: USEC_INITIALIZED=321164220006
E: ID_BUS=usb
E: ID_VENDOR_ID=0525
E: ID_MODEL_ID=a4a7
E: ID_PCI_CLASS_FROM_DATABASE=Serial bus controller
E: ID_PCI_SUBCLASS_FROM_DATABASE=USB controller
E: ID_PCI_INTERFACE_FROM_DATABASE=OHCI
E: ID_VENDOR_FROM_DATABASE=Netchip Technology, Inc.
E: ID_MODEL_FROM_DATABASE=Linux-USB Serial Gadget (CDC ACM mode)
E: ID_VENDOR=NuttX
E: ID_VENDOR_ENC=NuttX
E: ID_MODEL=CDC_ACM_Serial
E: ID_MODEL_ENC=CDC\x2fACM\x20Serial
E: ID_REVISION=0101
E: ID_SERIAL=NuttX_CDC_ACM_Serial_111122223333444455550002
E: ID_SERIAL_SHORT=111122223333444455550002
E: ID_TYPE=generic
E: ID_USB_INTERFACES=:020201:0a0000:
E: ID_USB_INTERFACE_NUM=00
E: ID_USB_DRIVER=cdc_acm
E: ID_USB_CLASS_FROM_DATABASE=Communications
E: ID_PATH=pci-0000:00:12.0-usb-0:2:1.0
E: ID_PATH_TAG=pci-0000_00_12_0-usb-0_2_1_0
E: DEVLINKS=/dev/serial/by-id/usb-NuttX_CDC_ACM_Serial_111122223333444455550002-if00 /dev/serial/by-path/pci-0000:00:12.0-usb-0:2:1.0
E: TAGS=:systemd:
ID_SERIAL_SHORTがきっちりと入っていますね。これでudevでID_SERIAL_SHORTを識別子として使ったルールが記述できそうです。なお確認は、stm32f103rcが載っているNucleoではないボードを使いました。今回は以上です。それでは。

コメント

このブログの人気の投稿

Hyper-V Server2019にワークグループ環境下でWindows10(1809)から接続

Hyper-V server 2019に、ワークグループ環境にてWindows10(1809)から接続してみました。Windows10にHyper-V管理ツールがインストールされていることと、Hyper-V Serverをインストール済であることが前提です。以下、Hyper-V serverは名前がHyperVSV、アドレスは192.168.1.110としています。 まず、Hyper-V server上で、powershellを起動し、以下のコマンドを入力します。 Enable-WSManCredSSP -Role Server -Force 続いて、クライアントのWindows10のpowershell で以下のコマンドを入力します。 winrm quickconfig -Force Enable-WSManCredSSP -Role Client -DelegateComputer * -Force さらに、クライアントマシンで、gpedit(グループポリシーエディタ)を起動し、以下の要領でポリシーを設定します。 a. [コンピューターの構成]->[管理テンプレート]->[システム]->[資格情報の委任]->[NTLMのみのサーバー認証で新しい資格情報の委任を許可する] を有効にし、サーバを一覧に追加[表示...]ボタンをクリックして、「WSMAN/*」を追加 b. [コンピューターの構成]->[管理テンプレート]->[システム]->[資格情報の委任]->[NTLM のみのサーバー認証で保存された資格情報の委任を許可する] を有効にし、サーバを一覧に追加[表示...]ボタンをクリックして、「*」を追加 また、名前解決できるように、(notepadを管理者権限で実行し)C:\Windows\System32\Drivers\etc\hostsにサーバ名とIPアドレスの対を追加。 192.168.1.110 HyperVSV 最後に、Hyper-Vマネージャーを起動し、Windows10からHyper-V サーバに接続します。手順は以下の通りです。 「サーバーに接続」->コンピュータの選択->別のコンピューターに[HyperVSV]と入力し、[別のユーザーとして接続する

wsdd を使ってSamba サーバをネットワークに表示

Windows 10のアップデートで、セキュリティー対応のため、smbv1がデフォルトではインストールされなくなり、Samba serverがエクスプローラーのネットワークに表示されなくなってしまいました。そこで、いくつか方法を調べたのですが、linuxでwsdの実装がないか探したところ、 https://github.com/christgau/wsdd が、見つかりましたので、さっそくインストールしてみました。まだパッケージにはないようですが、インストール自身は簡単です。wsdd自体は以下のように取得し、linkを張っておきます。 cd /usr/local/bin/ sudo wget https://raw.githubusercontent.com/christgau/wsdd/master/src/wsdd.py sudo chmod 755 wsdd.py sudo ln -sf wsdd.py wsdd こちらのsambaサーバはDebianなので、/etc/systemd/system/wsdd.serviceは以下のようにしました。 [Unit] Description=Web Services Dynamic Discovery host daemon Requires=network-online.target After=network.target network-online.target multi-user.target [Service] Type=simple ExecStart=/usr/local/bin/wsdd -d MYDOMAIN [Install] WantedBy=multi-user.target wsdd -d MYDOMAINのところを、環境にあわせて書き換えてください。 次に、systemdに登録・起動テストを行います。 systemctl enable wsdd systemctl start wsdd 起動に成功すると、エクスプローラーのネットワークに表示されます。  なおこのwsddはpython3が必要です。一度試してみてください。SMBv1/CIFSを停止していても、大丈夫です。 cで書かれたほかのwsddの実装もあるようなので、いずれパッケージになるかもしれませ

フレッツ光クロス:MAP-E ROUTER by Debian Box (iptables)

フレッツ光クロスがようやく開通したので、Debianにてrouterを構成し接続してみました。なお、プロバイダーを選ぶにあたっては、IPoE方式がそれぞれ異なるため検討したところ、IPoEでは、MAP-Eでもv6plusとocnバーチャルコネクトがあり、前者がポート数240なのに対し、後者は約4倍のポート数が使えるようなネットの情報をみて、OCNバーチャルコネクトを選択しました。(プロバイダーとしてはぷららです。なおDS-LiteはCE側でのNATではないので今回は見送りました。)そこで、OCN バーチャルコネクトをDebian(iptables)で実現するとどうなるかと思い、ネットの情報を頼りにしつつ、設定した次第です。 実際に試した結果、とりあえず通信できていますが、MAP-Eは本来マッピングルールをマップサーバから取得するはずなので、今回のやり方が正解とはいえませんし、仕様変更されると通信できなくなる可能性があります。あくまでも参考程度ですが、本稿をUPしてみました。 2023/03/16追記: こちら にゲームコンソールNAT越え(Nintendo Switch ナットタイプ A判定)対応版を投稿しました。 2023/03/28追記:※1の記述および3行無効化によりNAT越え(Nintendo Switch ナットタイプ B判定)できるようになりました。 構成は以下の通りです。 ルーターがDebianで回線がOCNバーチャルコネクトであること以外はなにも特別なところはない構成です。 さて、いきなり設定ですが、まず、割り当てられたプレフィックスを確認します。 確認は、 dhclient -6 -d -P enp2s0 とします。出力の中に 前略 RCV: | | X-- IAPREFIX 2400:4050:5c71:af00::/56 後略 このようにプレフィックスが表示されるので、その確認したプレフィックスを書き留めておきます。これを こちらで 入力します。すると、 CE: 2400:4050:5c71:af00:99:f171:c600:2f00 IPv4 アドレス: 153.241.113.198 ポート番号:(1776-1791 2800-2815 3824-3839) 4848-4863 5872-5887 6896-