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STM32F412RET6用にmicropython v1.21.0 をコンパイル

WeACT社のstm32関連ボードにSTM32f412RET6が載ったボードがあるのですが、バイナリーが古そうなので2023/11現在での最新バージョンv.1.21.0でビルドしてみました。まず、micropythonとWeACT社のgithubから該当ボードのレポジトリをcloneしました。
mkdir -p ~/stm32
cd ~/stm32
git clone https://github.com/WeActStudio/WeActStudio.STM32F4_64Pin_CoreBoard
mkdir micropython
cd micropython
git clone https://github.com/micropython/micropython -b v1.21.0 micropython-v1.21.0
cd micropython-v1.21.0
git submodule update --init
cp -a ~/stm32/WeActStudio.STM32F4_64Pin_CoreBoard/Examples/STM32F412/mpy/WeActStudio_F412RE ports/stm32/boards/
ざっと眺めると、linkerスクリプト(ports/stm32/boards/stm32f412rx.ld)が現在のmicropythonのレポジトリにないので、まずそこから手をつけました。内容は以下の通りです。
/*
    GNU linker script for STM32F412rx (512KB flash, 256kB RAM)
*/

/* Specify the memory areas */
MEMORY
{
    FLASH (rx)      : ORIGIN = 0x08000000, LENGTH = 512K /* entire flash */
    FLASH_ISR (rx)  : ORIGIN = 0x08000000, LENGTH = 16K  /* sector 0 */
    FLASH_FS (rx)   : ORIGIN = 0x08004000, LENGTH = 112K /* sectors 1,2,3 = 16K:sector 4 = 64K. 16K+16K+16K+64K=48K+64K=112K */
    FLASH_TEXT (rx) : ORIGIN = 0x08020000, LENGTH = 384K /* sectors 5,6,7 are 128K */
    RAM (xrw)       : ORIGIN = 0x20000000, LENGTH = 240K
    FS_CACHE (xrw)  : ORIGIN = 0x2003c000, LENGTH = 16K
}

/* produce a link error if there is not this amount of RAM for these sections */
_minimum_stack_size = 2K;
_minimum_heap_size = 16K;

/* Define the stack.  The stack is full descending so begins just above last byte
   of RAM.  Note that EABI requires the stack to be 8-byte aligned for a call. */
_estack = ORIGIN(RAM) + LENGTH(RAM) - _estack_reserve;
_sstack = _estack - 16K; /* tunable */

/* RAM extents for the garbage collector */
_ram_start = ORIGIN(RAM);
_ram_end = ORIGIN(RAM) + LENGTH(RAM);
_heap_start = _ebss; /* heap starts just after statically allocated memory */
_heap_end = _sstack;

/* Filesystem cache in RAM, and storage in flash */
_micropy_hw_internal_flash_storage_ram_cache_start = ORIGIN(FS_CACHE);
_micropy_hw_internal_flash_storage_ram_cache_end = ORIGIN(FS_CACHE) + LENGTH(FS_CACHE);
_micropy_hw_internal_flash_storage_start = ORIGIN(FLASH_FS);
_micropy_hw_internal_flash_storage_end = ORIGIN(FLASH_FS) + LENGTH(FLASH_FS);
つづいてmpy-crossをビルドします。
cd mpy-cross
make -j6
cd ..
あとは修正を以下の2ファイルに対して行います。
ports/stm32/adc.cは以下のようにします。
変更前
154 #elif defined(STM32F411xE) || defined(STM32F412Zx) || \
変更後
154 #elif defined(STM32F411xE) || defined(STM32F412Rx) || defined(STM32F412Zx) || \
ports/stm32/timer.cは以下のようにします。
変更前
868     #if defined(STM32F412Zx) || defined(STM32L1)
変更後
868     #if defined(STM32F412Rx) || defined(STM32F412Zx) || defined(STM32L1)
これでビルドは通ります。
cd ports/stm32
make DEBUG=0 LTO=1 BOARD=WeActStudio_F412RE MICROPY_ROM_TEXT_COMPRESSION=1 CROSS_COMPILE=arm-none-eabi- -j 6
(中略)
LINK build-WeActStudio_F412RE/firmware.elf
   text    data     bss     dec     hex filename
 320316      52   27784  348152   54ff8 build-WeActStudio_F412RE/firmware.elf
GEN build-WeActStudio_F412RE/firmware0.bin
GEN build-WeActStudio_F412RE/firmware1.bin
GEN build-WeActStudio_F412RE/firmware.he
GEN build-WeActStudio_F412RE/firmware.dfu
起動させてみたところ、今のところ問題なく動いています。F412REはCPUクロックは遅いものの、RAMが256KB、Flashが512KBあり価格も手ごろなので重宝しそうです。
備忘録として挙げてみました。今回は以上です。それでは。

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