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configfsを使った NVMe over RDMA ターゲットとイニシエータの基本的な設定

Debian 12でconfigfs を使い NVMe over RDMA ターゲット(ConnectX-3 VPI)を設定し、同じくDebian 12の イニシエータ(ConnectX-3 VPI)から接続してみました。今回は PCIe 4.0 の NVMe ドライブを PCIe 3.0 で接続して試してみたのですが、fioを使ったベンチマークでローカルとほぼ同じ速度で接続できましたので備忘録として挙げてみました。
早速ですが、以下設定です。
#### target side
modprobe nvmet-rdma

NQN=nqn.1868-01.com.example:nvme:i50.500gb01

mkdir /sys/kernel/config/nvmet/subsystems/$NQN
cd /sys/kernel/config/nvmet/subsystems/$NQN
echo 1 > attr_allow_any_host
mkdir namespaces/10
cd namespaces/10
echo -n /dev/nvme0n1 > device_path
echo 1 > enable

mkdir /sys/kernel/config/nvmet/ports/1
cd /sys/kernel/config/nvmet/ports/1
# 全てのインターフェースでリスンする場合は 0.0.0.0 を指定
echo -n 0.0.0.0 > addr_traddr
echo rdma > addr_trtype
echo 4420 > addr_trsvcid
echo ipv4 > addr_adrfam

ln -s /sys/kernel/config/nvmet/subsystems/$NQN /sys/kernel/config/nvmet/ports/1/subsystems/$NQN

# 確認
dmesg | grep "enabling port"
[ 1342.115704] nvmet_rdma: enabling port 1 (0.0.0.0:4420)
ターゲット側は以上です。
続いてイニシエータ側から接続してみます。
#### initiator side

apt-get install nvme-cli

# discovering
nvme discover -t rdma -a 10.1.56.50 -s 4420

# connecting
NQN=nqn.1868-01.com.example:nvme:i50.500gb01
nvme connect -t rdma -n $NQN -a 10.1.56.50 -s 4420

# 接続確認
nvme list
--snip

dmesg | tail
[ 5654.428305] nvme nvme0: creating 4 I/O queues.
[ 5654.461203] nvme nvme0: mapped 4/0/0 default/read/poll queues.
[ 5654.462550] nvme nvme0: new ctrl: NQN "nqn.1868-01.com.example:nvme:i50.500gb01", addr 10.1.56.50:4420
接続は以上です。
試しに QDR(40Gbps)のRoCE (ConnectX-3 VPI) で計測を行ってみました。
# fio sequential read on initiator
fio --filename=/dev/nvme0n1 --size=1024M --rw=read --bs=1024K --ioengine=io_uring --direct=1 --iodepth=8 --runtime=10 --numjobs=1 --time_based --group_reporting --name=read-throughput-test-job
--snip
Run status group 0 (all jobs):
   READ: bw=3288MiB/s (3448MB/s), 3288MiB/s-3288MiB/s (3448MB/s-3448MB/s), io=32.1GiB (34.5GB), run=10002-10002msec

# fio sequential write on initiator
fio --filename=/dev/nvme0n1 --size=1024M --rw=write --bs=1024K --ioengine=io_uring --direct=1 --iodepth=8 --runtime=10 --numjobs=1 --time_based --group_reporting --name=write-throughput-test-job
--snip
Run status group 0 (all jobs):
  WRITE: bw=3212MiB/s (3368MB/s), 3212MiB/s-3212MiB/s (3368MB/s-3368MB/s), io=31.4GiB (33.7GB), run=10003-10003msec


# 参考: fio sequential read on target 
fio --filename=/dev/nvme0n1 --size=1024M --rw=read --bs=1024K --ioengine=io_uring --direct=1 --iodepth=8 --runtime=10 --numjobs=1 --time_based --group_reporting --name=read-throughput-test-job
--snip
Run status group 0 (all jobs):
   READ: bw=3391MiB/s (3556MB/s), 3391MiB/s-3391MiB/s (3556MB/s-3556MB/s), io=33.1GiB (35.6GB), run=10002-10002msec

# 参考: fio sequential wirte on target
fio --filename=/dev/nvme0n1 --size=1024M --rw=write --bs=1024K --ioengine=io_uring --direct=1 --iodepth=8 --runtime=10 --numjobs=1 --time_based --group_reporting --name=write-throughput-test-job
--snip
Run status group 0 (all jobs):
  WRITE: bw=3189MiB/s (3344MB/s), 3189MiB/s-3189MiB/s (3344MB/s-3344MB/s), io=31.2GiB (33.4GB), run=10003-10003msec

## 接続解除
nvme disconnect -n $NQN
多少のオーバーヘッドはあるかとは思いますが、PCIe x3 接続の NVMe ドライブとして見た場合、QDR接続でもローカル接続・リモート接続共にほぼ最高同程度の速度で読取・書込できているようです。
これも参考ですが、同じHCAの別ポートのIPoIB(Connected mode)で接続した場合、以下のようになりました。
# sequential read
Run status group 0 (all jobs):
   READ: bw=3307MiB/s (3467MB/s), 3307MiB/s-3307MiB/s (3467MB/s-3467MB/s), io=32.3GiB (34.7GB), run=10003-10003msec
# sequential write
Run status group 0 (all jobs):
  WRITE: bw=3214MiB/s (3370MB/s), 3214MiB/s-3214MiB/s (3370MB/s-3370MB/s), io=31.4GiB (33.7GB), run=10003-10003msec
こちらも QDR 接続で、ほぼ最高同程度の速度で読取書込できているようです。
ついでに ConnectX-2 なIPoIBのイニシエータから接続して計測した場合は、以下のようになりました。
# sequential read
Run status group 0 (all jobs):
   READ: bw=3132MiB/s (3284MB/s), 3132MiB/s-3132MiB/s (3284MB/s-3284MB/s), io=30.6GiB (32.8GB), run=10003-10003msec
# sequential write
Run status group 0 (all jobs):
  WRITE: bw=2829MiB/s (2966MB/s), 2829MiB/s-2829MiB/s (2966MB/s-2966MB/s), io=27.6GiB (29.7GB), run=10002-10002msec
書込が後少しですが、ターゲットが PCIe 3.0 x4 接続の NVMe な環境では ConnectX-2のイニシエータでもそこそこのスピードで接続できるようです。
今回は以上です。それでは。

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