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IPv4/IPv6 WAN load balancing with Weighted ECMP

前回、前々回はパケットにマーキングすることで振り分けして、ロードバランスを設定してみましたが、比較的新しいLinux KernelにはWeighted ECMP(Equal cost multi path)の機能が入っており、今回はこれだけを利用してIPv4とIPv6のロードバランスをDebian/10 busterにて設定してみました。構成は以下の通りで前回、前々回と変わっていません。
なお、クライアントとenp3s0はIPv6/IPv4のいずれも疎通していること、IPv4/IPv6ともにforwardが有効になっていることが前提ですが、本稿では触れません。 こちらも前回、前々回と同じですが、ネットワークインターフェースの設定は以下のようになります。
#/etc/network/interfaces.d/enp3s0
auto enp3s0
iface enp3s0 inet static
  address 192.168.255.23
  netmask 255.255.255.0
iface enp3s0 inet6 static
  address fd5b:1234:5678:1350::23/60

#/etc/network/interfaces.d/enp1s0f0
auto enp1s0f0
iface enp1s0f0 inet static
  address 192.168.1.201
  netmask 255.255.255.0

iface enp1s0f0 inet6 static
  address 240d:8765:4321:1351::23/64

#/etc/network/interfaces.d/enp1s0f1
auto enp1s0f1
iface enp1s0f1 inet static
  address 192.168.1.202
  netmask 255.255.255.0

iface enp1s0f1 inet6 static
  address 240d:8765:4321:1352::23/64
ゲートウェイの設定は、こちらでは行いません。また、/etc/netowrk/if-up.dでは設定がうまく反映されませんでしたので、rc.localなどを使って最後に実行します。
#!/bin/sh
ip route add default proto static metric 20 \
    nexthop via 192.168.1.2 dev enp1s0f0 weight 1 \
    nexthop via 192.168.1.4 dev enp1s0f1 weight 1

ip -6 route add default proto static metric 20 \
    nexthop via fe80::1 dev enp1s0f0 weight 1 \
    nexthop via fe80::1 dev enp1s0f1 weight 1
続いて、MASQUERADEの設定を行います。
iptables -t nat -A POSTROUTING -o enp1s0f0 -j MASQUERADE
iptables -t nat -A POSTROUTING -o enp1s0f1 -j MASQUERADE
ip6tables -t nat -A POSTROUTING -o enp1s0f0 -j MASQUERADE
ip6tables -t nat -A POSTROUTING -o enp1s0f1 -j MASQUERADE
iptables/ip6tablesの設定保持には、iptables-persistentを使いますので、インストールしておいてください。保存は、
iptables-save > /etc/iptables/rules.v4
ip6tables-save > /etc/iptables/rules.v6
とします。これで次回起動時以降も自動でMASQUERADの設定が適用されます。
最後に、sysctl.confに以下の設定を入れておきます。
net.ipv4.fib_multipath_hash_policy = 1
net.ipv6.fib_multipath_hash_policy = 1
設定したら、sysctl -p で設定を反映させてください。設定としては以上ですが、ECMPを使うと自動的に(enp1s0f0またはenp1s0f1の回線断に対して)冗長構成ありになります。IPv6はULAとMASQUERADEを使う小規模向きの設定とはいえ、構成は、前回前々回以上にシンプルです。設定が終了したら、クライアントから接続確認サイトなどを使うと、IPアドレスが切り替わることがあることがわかります。


以上、Weighted ECMPを使った冗長構成ありのIPv4/IPv6 WAN load balancingの設定でした。ではまた。

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